Another Country

舞台『アナザーカントリー』大千秋楽おめでとうございます!!全23公演お疲れ様でした。

大千秋楽終わって映画を見直した後に書いてますが、大阪と福岡のレポを読んで号泣しながらパソコンに向かってます。(とか言いつつ、もう2023年ですしキングダムも終わりました大遅刻にも程がある)

 

6/24〜7/3までの東京公演のうち5公演を観劇したので考察やら感想やら書こうと思います。

 

<観劇日> 6/24、6/26夜、6/29夜、7/2夜、7/3

(有難いことに26日は最前で見れました!!なのでその日の記憶は救いようなし!)

 

 

 

まずは、セット配置から!! 舞台上には1段高くなっている回転式のステージと頭上に四角の枠組み。そして扉の役割となる門構えと演者が持って出てくる椅子や家具として使われる四角い箱のようなもの。小道具はジャッドの持つ本(マルクス資本論)のみ。

 

全てが『四角形』なのは規律でガチガチに固められてる、寮そのものが生徒を閉じ込める箱のようなもの、みんなが同じ方向を向くことを強制されていることを意味しているのかなと思いました。 その中で唯一、円柱の台が出てきてその真意は5公演じゃ上手く読み解けなかったですが後ほど私なりの解釈を。。

 

 

劇中歌はホルスト組曲:惑星『木星』(Jupiter) イギリスの愛国歌として歌われる木星にも絶対に意味があるんだろうなと思って調べました。

 

木星(Jupiter) 拡大と発展を意味する天体。 哲学や宗教の意も含まれる。 英語のジュピター (Jupiter) は、ギリシア神話のゼウスと同一とみなされるローマ神話の神ユーピテルを語源とする。その意味は「天空の父たる神("O Father Sky-God")」または「日の父たる神("O Father Day-God")」である。

 

作詞がされたのは第一次世界大戦中とされ、1番の歌詞は祖国への忠誠心、2番は平穏の理想の国家について書かれています。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%A8%E6%98%9F より)

 

陽気や快楽などの意味もあるらしく全てがこの舞台の世界線に通じているのだと感じました。 しかし、愛国歌ver.→オルガン→女声→男声と変化していくことの意味は分かりませんでした。

 

ベネットとジャッドの立ち位置(上手下手)は右派左派の違い、右脳派左脳派の違い、ではないかと考えました。

 

 

ここまでは、ざっと設定に対する私の考えです。次は時代背景まとめましたので、どうぞ!

 

1917年 ロシア革命(指導者:レーニン)→史上初の社会主義国家樹立

1918年 第一次世界大戦終戦(英国は戦勝国。しかし戦死者は88万人以上)

1922年 ソビエト社会主義共和国連邦成立→一党独裁国家

1923年 ソビエト連邦人民委員会議(初代議長:レーニン

1924年 レーニン死亡→スターリンが後継者となる

スターリニズム(マルクス・レーニン主義)

1929年 世界恐慌

1932年 Another Countryの世界線

1936〜39年 スペイン内戦

1939年 第二次世界大戦開戦

 

不思議なことに題材にされてるのはイギリスなのに物語に関係してくる国はソ連が多いんですよね…そしてスペイン内戦を記載してあるのは後ほど書きますね…原作知ってる方は既に苦しいと思う(泣)

 

 

 

 

 

さてさてさて!!!

ここから台詞やそれぞれの場面について始まります。いや〜前置き長すぎ!!

 

鐘の音のあとベネットとジャッドが出てきて木星に合わせてステージを回転させるところから開演です!!(最前に入れた時2人ともめちゃくちゃいい匂いしました)

 

まずこのシーンでの「木星」は追悼式の様子を表しているのではないでしょうか。実際、映画版では学生時代のシーンは追悼式から始まります。

 

ジャッド「収穫は!」ベネット「なし!」

大河さんの一言で始まって私は泣きました。声が会場内に響くようになっててそこで成長感じた(早い)

 

「救いようもなくブルジョア的で退廃的」の時の大河さんの首の動きと表情で演技してる感が初日から伝わってきて、この子は役を自分に取り込んで(伝われ)演技するんだろうな〜と思いました。台詞自体にあまり感情のこもっていないジャッドはめちゃくちゃささりました。物語が進むにつれ感情が表に出てくるのも面白かったなぁ、、、

 

和田優希くんは憑依型の演技かなって思いました。凄く陽キャなんだけど、どこかだらしない、でも多くの学生を虜にする妖艶さや魅力を持っている。そんなベネットに愛着が湧かないわけなくて最後のシーンの落とし込み方が引き立っていたなと思います。あと!カテコまでベネットを引きずってたように見えました。和田くん辛くない、、?

 

 

 

 

2人で会話しているとデヴェニッシュが入ってきます。その後の『司祭は男たちが戦争中、女なしでどう我慢していたかって話しかしない』というジャッドの台詞で確信しました。この舞台は絶対際どい台詞ストレートに言うやつだ、と。 中学時代に映画を見た事があったのですが、舞台にハーコートが出ない事とジャニーズが主演である事によって多少の描写が温くなるかと危惧していましたが、さすがスズカツさん。ガンガンに言わせてました。最高!!

 

 

次に入ってくるのはメンジース。多和田くん顔がいい!!背も高くてかっこよかった!!

ジャッド『ただ俺は監督生になる前のあんたが好きだった』に対する

「それなら、また好きになるさ」のメンジースがメロすぎる。初日で落ちた。

 

 

デヴェニッシュ「こいつが追悼式の時何をしてたか知ってるか?」で始まる対ジャッドとの思想の違いに関する論争。

デ「下級生とコソコソ話しながら笑ってた!!」

ジャ『勇気があれば、もっと大笑いしたんだけどな』

ジャッドの台詞でこいつひねくれてんなぁ〜って初日に思っちゃいました(笑)

 

ジャ『お前のようなガチガチの保守党主義者でも身も知らぬ戦死者のためにおいおい泣かせようなんて式がいかに馬鹿げてるかはわかるだろう』

ここの言い方めちゃくちゃ好きでした。ただそれだけ()

 

そしてその後は唐突にベネットが自分の父親の死について語りだします。ここからの台詞が、それはそれは衝撃的でしたね〜。そんな言葉ジャニーズが言っていいのかと。

『あれはイースターの夜だった。』

ジャニーズって腹上死の話して良いの?ジャッドさん本読んでるようで読んでないよね?話が気になっちゃうよね、目線動きまくってて良かった。拍手の仕方も憎たらしくて好きでした。

 

 

「マーティノーを見た者はいるか!」

ファウラー様!!少し高めの声が目立っててキレ散らかしてる感じビシビシ感じれました。中山咲月さんめちゃお顔が中性的で気になったので調べたら元女の子なんですね?!無性愛を告白してて男として生きると公言している方がこの題材に関わっている事が良い時代変化なのかなと思うとともに、アナカンの時代の生きづらさを感じられると思いました。

 

ベネット対ファウラー

ファウラーは目の敵にしてるのにベネットは一切相手にしてない感じがすごい好きでした。軍国主義者のファウラーにも正義があるんですよ、、あぁ、頭使いまくり、、、

ジャ『ルール16のBを教えてあげよう』

べネット「軍人さん用に英語にすれば全会一致」

この辺はもうニュアンスでしか台詞思い出せないけど、ファウラーより1枚上手なジャッド&ベネットのコンビ愛しい…

 

この後、マーティノーの死が台詞とノイズにて描写されます。ノイズの意図も分からなかったですが、、22の会議もバッチバチで見てる側も頭フル回転でした。

 

 

ジャッドさんとウォートンのシーンもかなり好きでした。

純粋なウォートンにジャッドは自分の思考を語り、「はい」の意味を問いかける、そして回答に対して「救いようなし」の言い渡し。ジャッドはデラヘイに対しても強気(ここでケンブリッジの進学を望んでいることが分かる)。

デラヘイに対しては偽善者とまで言い、マーティノーを庇う発言。

 

さぁ、やってまいりました。

ジャ「お前、スパンギンとヤッてないよな?」

ジャ「お前も振られることあるんだ、俺以外のやつに」

さす(がに衝撃発言でしんど)い。

べネッドは過去にジャッドに言いよったことがある→しかし交友関係は保たれている

私が思うに恋心では無いにしてもジャッドもべネッドに対する保護欲か何かが少なからずあるのでしょう。

 

ジャッドの「俺は女が好きなんだ、11の時に分かった」発言も伏線だったのかなと今になって思います。(これは最後のシーンへ、、)

 

この時、立ったままボックスに寄りかかって本を読むジャッドさんがとっても好きでした。

 

 

ウォートンがジャッドにマーティノーとの思い出(?)を語るシーン回数を重ねる度に泣けました。ジャッドの声が優しいんだよなぁ。

ウォートンに「俺は俺だ!あいつらに都合の良い人間になんてなってやるものか!」と語りかける時にすっごい力で拳を握り締めてて、ジャッドにとってもマーティノーの死はかなり堪える出来事でそれを黙認する学校も気に入らない、この学校のやり方は間違っているという思考に拍車をかけたのかなと思いました。

ウォートンの「おやすみなさい、ありがとうございます、ジャッドさん」がすごく素直で、あぁこの子はジャッドに気持ちが寄っているんだろうな、きっとどの登場人物も最初はウォートンのようにまっさらな器だったのだろうなと切なくなりました。

 

 

 

再婚式から帰ってきたべネッドの「ケープタウンシンガポール、香港、オーストラリア」のカンガルーが毎公演可愛くて笑っちゃいました。

でも、ここから物語は変わって行くんですよね。

ハーコートと恋をしてしまったから。たった一夜の出来事なのに。

恋をしているべネッドはキラキラ輝いていたのに、それが許されない世界だから。

(このシーンの切り替わりに使われる音楽はジャズ調の音楽)

 

 

メンジースとバークレイの会話の後のバークレイがすごく切なくて、自分を追い詰めることでしか現実を受け止められない責任感は強いけど弱い人なんだろうなって感じました。(私的にバークレイがこの舞台で一番好きだったキャラかも)

この後に流れる音楽がすごく寂しい。

 

 

切り替わって次!

図書館でジャッドがカニンガムさんのモノマネをする所は本当に可愛かったですよね!!!

ウォートンの夢を見ている所を「来い、お座り、いい子だ」と再現するのも良かった(語彙力皆無)

 

 

そして、カニンガムさんとのお茶会。

5人が正面を向いて決して向き合わない構図でお茶会が始まります。これは5人の思考が交わらないこと、各々が自分の意見をストレートに発言しあうものの相手には届いていないことを表現されているのかなと考えました。

 

そこにウォートンがサンドイッチを持ってきます。円形の台を配膳台に見立てていました。この舞台に出てくる唯一四角で無いものがこの台。

「サンドイッチは下級生へのご褒美」である→カーストで成り立つ学校で下級生の働きに応じたご褒美がある→ガチガチに規律で固められた世界での唯一のゆとり、なのかなと思いましたが最後まで意図は掴めませんでした。

 

そして始まる討論。

「回る」ってことがキーなんですかね?音楽もリフレーンされてて叔父さんを中心に4人が歩き回る所も先の見えないこと、終わりのない論争であることを表してるのかな?

4人が2:2で時計回りと反時計回りをしている意味は?資本主義と共産主義軍国主義、民主主義の様々なイズムが交錯し合ってることを表してる?

ベネット&ジャッド内側時計回り

メンジース&デヴェニッシュ外側反時計回り

 

止まる位置はランダムで、叔父さんが指さしをする時にジャッドだけすごい圧のある指さしだったんですよね。

そして毒を吐いてジャケットを翻し去っていくジャッドさんかっこよかった、、